Aqours2ndLIVEを紐解く
ラブライブ!サンシャイン!! Aqours 2nd LoveLive! HAPPY PARTY TRAIN TOURに参加したレポートおよび感想考察です。私的解釈を偉そうに書きます。
ラブライブ!サンシャイン!!は、2015年2月26日に雑誌『電撃G's magazine』上で開始された読者参加企画を皮切りに、2016年7月から9月までテレビアニメ全13話が放送された作品です。
2017年2月25日、26日には横浜アリーナにて1stライブが開催され、2017年4月5日には3rdシングル「HAPPY PARTY TRAIN」が発売されました。
この度のライブはAqours初のツアーとなっており、2017年8月5日、6日には名古屋公演(日本ガイシホール)が、8月19日、20日には神戸公演(神戸ワールド記念ホール)が、9月29日、30日には埼玉公演(メットライフドーム)が開催されました。
ライブビューイング映像は日本の他にも海外10か国(韓国・台湾・香港・シンガポール・中国・アメリカ・オーストラリア・ニュージーランド・タイ・カナダ)で上映されました。
私はツアーファイナルである9月30日埼玉公演2日目のみ、現地1塁側スタンド席から参加しました。
セットリスト(9月30日)
02.Pops heartで踊るんだもん!
<MC1>
03.少女以上の恋がしたい
04.夏への扉 Never end ver. /桜内梨子(逢田梨香子)、国木田花丸(高槻かなこ)、小原鞠莉(鈴木愛奈)
05.真夏は誰のモノ?/黒澤ダイヤ(小宮有紗)、黒澤ルビィ(降幡愛)
06.地元愛♡満タン☆サマーライフ/渡辺曜(斉藤朱夏)、津島善子(小林愛香)
07.夏の終わりの雨音が/高海千歌(伊波杏樹)、松浦果南(諏訪ななか)
<MC2~幕間映像①>
08.未熟DREAMER
<MC3>
10.Daydream Warrior
11.スリリング・ワンウェイ
<幕間映像②>
12.近未来ハッピーエンド/ CYaRon!
13.GALAXY HidE and SeeK / AZALEA
14.コワレヤスキ/ Guilty Kiss
<キャスト映像③>
16.SKY JOURNEY
<MC4>
17.MIRAI TICKET
<アンコールアニメ>
EN1. サンシャインぴっかぴか音頭
<MC5>
EN2. 太陽を追いかけろ!
EN3.Landing action Yeah!!
一見すると最新シングルやデュオトリオコレククションなどのライブ未発表曲を並べたセットリストとなっています。
以下、内容について挙げ始めるとキリがないので特に触れたい部分だけ。
オープニングアニメ
9人を乗せた機関車が埼玉へ到着、と思いきや全速力で通過し、赤信号も無視して夜空へ飛び去っていきます。
話によるとどうやらこの演出は名古屋・神戸でも同様のものだったようです。
全速力で目の前を、いまを駆け抜けていくAqoursをこの目に焼き付けなければ、と覚悟しました。
舞台正面の扉からアニメ同様のSLと共にメンバーが登場し、一曲目に繋がります。
01.HAPPY PARTY TRAIN
Aqoursの3rdシングル表題曲であり、ツアータイトルにも用いられています。
アニメの物語を追った展開をみせた1stLIVEとは打って変わり、2ndLIVEはお祭り的な楽しい『PARTY』の様相を呈した内容に見受けられました。
しかしながら英単語『PARTY』はそれだけでなく、「一行」「一座」などの意味を持ちます。
さながらこのツアーは、我々を10両目に連結した「幸せな一団の列車」です。
さて、この曲は全ての公演の一曲目のポジションを担っています。
開いた花の香りから 受け取ったよ次の夢を
「HAPPY PARTY TRAIN」 歌い出し
このツアーが「開いた花の香りから受け取った次の夢」の具象化、その第一歩であることを象徴しています。
光を追いかけてきた身としては目頭が熱くなるフレーズです。
Aqoursは憧れを抱きしめて、Aqoursだけの道へ走り出しました。
04~07.デュオトリオ楽曲
2017年8月2日に発売された「ラブライブ!サンシャイン!! デュオトリオコレクションCD VOL.1 SUMMER VACATION」より4曲全てが披露されました。
電撃G'sMagazine紙面上で読者による衣装テーマ投票ののち発表された4組の衣装が全て再現されました。
それぞれたった一曲のために衣装が製作されるという贅沢仕様です。
<MC2>ではこれらの衣装を纏った9人が一同に介しましたが、テーマがバラバラなためごちゃ混ぜ感の強いステージとなりました。
CDと同様のセットリスト順で、夏の始まりから終わりまでが表現されています。
08.未熟DREAMER
<MC3>では「夏の終わりにピッタリな曲」とコメントがありました。
スクリーンに映し出されたナイアガラ花火が哀愁を感じさせる、デュオトリオの「夏」の流れから締めの一曲。
アニメ9話で使われた劇中歌テイストの強いこの曲を、Aqoursはアニメの文脈を用いずに純粋な歌と踊りのパフォーマンスとして披露できるまでになっていました。
12~14.ユニット楽曲
名古屋・神戸公演でも披露されていたためMCなどで衣装に言及する機会は設けられていませんでしたが、一曲披露するために着替えてくれるというのはもはや執念でしょう。
ユニット曲は本編とは違った世界観をもつものが多数であるため、セットリストの方向性がますます見えてこなくなります。
17.MIRAI TICKET
18.君のこころは輝いてるかい?
名古屋では劇伴「始まりの物語」から「MIRAI TICKET」のアニメ本編の流れが、開演前の会場BGMにて用いられたそうです。
そして「MIRAI TICKET」が披露されることはありませんでした。アニメ本編にてラブライブ東海地区予選会場とされた、"うってつけの舞台"といえる日本ガイシホールで、です。
これは、このツアーが「再現」を二の次に置いていること、それにアニメ本編13話とAqours1stLIVEのその先のものであるという位置づけに他なりません。
"TICKET"を得たからこそ"乗車"できたわけです。
であるが故に。
埼玉公演でのみセットリストに組み込まれた、明らかに浮いているこの2曲の流れ。
ここで感じた強烈な違和感は、このツアーのコンセプトを紐解く鍵になりました。
当記事下部で再度触れます。
アンコールアニメ
機関車が燃料不足となり、沼津へ帰れない。が、参加者のAqoursコールにより復活し、お礼にパフォーマンスをしてから帰ろう。というもの。
いまや恒例となった、画面越しのコールを想定したアニメーション。
Aqoursに乞われるがままコールをするわけなんですが、呼びかければ彼女らは沼津に帰ってしまうとわかっているのに、みんな声を出さずにはいられないんですよね。
なんて幸せな空間なんだろう、と噛み締めました。
EN1. サンシャインぴっかぴか音頭
お祭りの曲。
伊豆・三津シーパラダイスのマスコットキャラクター、うちっちーがゲストとして登場。
これは何気に凄いことだと思っていて、「ラブライブ!」は作品構造上、二次元とリンクした存在しかステージに上がる権利を持たないため、バックバンドやバックダンサーを置くことができません。
しかし、作品内で現実の存在とコラボレーションを行い、その結果 沼津と強く結びつく楽曲でそれと共演をするに至ったということは、「ラブライブ!サンシャイン!!」ならではの進歩でしょう。
またこの曲では、高海千歌(伊波杏樹)さんが和太鼓の演奏を務めました。Aqoursの「挑戦」を続ける姿がいつも美しい。
EN2. 太陽を追いかけろ!
楽曲冒頭に入る点呼、『9!』の後の一拍で「10!」コールをするわけですが、後ろに続く『OK?』は原曲に反して歌われませんでした。
そこには、「10!」を拾いに行くという意思表示がなされていました。
そして、合唱つまり共有を求めるときの歌詞字幕表示あり。輝かざるを得ない。
EN3.Landing action Yeah!!
2017年6月30日に発売された、「Aqours NEXT Step! Project」テーマソング。歌詞字幕表示あり。
2017年11月から始まる「ラブライブ!サンシャイン!!Aqours クラブ活動 LIVE & FAN MEETING 〜 Landing action Yeah!! 〜」のための楽曲であるため今回のセットリストには組み込まれない、といった憶測もちらほらと見受けられました。
が、蓋を開けてみれば、アンコールでこの楽曲が歌われることは必然であったように思えます。
本題 Aqours2ndLIVEを紐解く
「HAPPY PARTY TRAIN TOUR」は、コールで盛り上がる曲、激しいダンスで魅せる曲など、盛り沢山でなんでもござれの楽しいライブでした。
その反面、どこか統一感がなくコンセプトの読み取りにくいものであったという所感です。
その中でひとつ、特に印象に残ったのが<MC5>で繰り広げられた名MCの数々です。キャストの物語を色濃く感じさせる、感涙を禁じ得ないものでした。
このツアーには、このところの公式ファンクラブ「Aqours CLUB」をはじめとしたさまざまなメディアでのキャスト露出率も手伝ってか、キャストの物語が矢面に立っていた印象を受けました。
1stLIVEでは、キャストが観衆の前にキャラクターを顕現させるべく粉骨砕身する姿に強く胸を打たれたことが記憶に新しいですが、2ndLIVEのそれは少し違ったものであることに気付きます。
1stLIVEと2ndLIVE、キャストの在り方の相違
Aqours First LoveLive! ~Step! ZERO to ONE~のパンフレットを開くと、メンバー紹介の項ではキャラクターとキャストが=(イコール)で繋がれています。ラブライブ!ではおなじみの、作品観を象徴する表記です。
CV表記の箇所もありますね。キャラクターとキャストは"鏡合わせ"。
では、今回の2ndLIVEのパンフレットを見てみると。
なんと、キャラクターとキャストの名前が併記されたページがひとつも存在しません。
この表現の背景には、ツアーファイナルから一週間後に放送開始を控えたアニメ2期の存在があると考えます。
とうにアフレコを終えているキャストたちAqoursは我々の知らないAqoursを一足早く知っているわけで、双方のAqours観には一定の乖離が生じてしまっていることが自明です。
が、しかし。だからこそできることがある。
キャストによる再現ではない、"キャストによるキャラクターの拡大"です。
ところで、私の目は黒澤ルビィちゃんを追いがちな習性があるようなのですが、さまざまなテイストの楽曲が散りばめられた今回のライブでは、この曲のルビィちゃんはこんな風に踊るんだ、こんな表情をするんだ、といった発見がいくつもありました。
キャラクターとキャストは"表裏一体"なのだから。
"片側の面からもう片側の面への干渉"という新しい形の表現は、 Aqoursが『次の夢』の第一歩を踏み出した証左と言えるでしょう。
ここでひとつ、振り返り。
16.SKY JOURNEY
ここまで正直かなりこじつけ的な解釈を書きましたが、上記を踏まえるとセットリストにおけるこの楽曲の存在意義や配されたポジションに説得力が生まれるので気に入っています。
ふわっとした歌詞が、キャスト→キャラクターの構造めいてくる気がしませんか。
わざわざ<MC4>で言及された演出、背景モニターに映されたエフェクトと振付とのリンクは、"二次元と三次元のリンク"であり、"キャストと背面のリンク"です。
二面間を繋ぐもの
17.MIRAI TICKETは、伊波杏樹さんによる『TVアニメ第13話挿入歌、MIRAI TICKET』の宣言から入るもので、非常に違和感を持ちました。
これは一体何だったのか。
私は、両面のAqoursがまだ見ぬ次のステップに踏み出すために、輝きの原点に立ち返る必要があったからと考えました。
Aqoursはゼロからイチへのステップを踏むにあたって、ある気付きを得ていました。
輝くって、楽しむこと。
今回Aqoursは、「MIRAI TICKET」~「君のこころは輝いてるかい?」というアニメ本編13話、並びにその追体験である1stLIVEからの地続きの表現によってこれを振り返りました。
Next Step
では、イチから次のステップのために必要なのは何か。もっと『輝く』には、もっと『楽しむ』にはどうすればいいか。
そこで出てきたのがこれ。
あそ‐ぶ【遊ぶ】1 スポーツ・趣味など好きなことをして楽しい時間を過ごす。
Aqoursが掴み取った方程式「輝くこと」=「楽しむこと」=「遊ぶこと」
「楽しい時間を過ごすこと」と定義される「遊ぶ」は、「楽しむこと」を最上としたAqoursにとって、最強の動詞です。
片側が面立つAqoursにとって、この度の『PARTY』は「遊ぶ」にはうってつけの舞台でした。
遊ぼうSplash!
「夏への扉 Never end ver.」 1サビ
嵐が来たら 晴れるまで遊ぼう
それも楽しみだねホントさ
「未熟DREAMER」 2サビ
空色カーテン Open! 海色ゲート Welcome!
あ・そ・び・ま・しょう
「恋になりたいAQUARIUM」 歌い出し
とまらないよ とまらないよ あふれそうな想いは
世界中で遊びたいって心からの希望
「スリリング・ワンウェイ」 1サビ
Landing action
今日はどこで 君と遊ぼうかな
さあみんなでCall&Dance!
Aqours Next Step! Project テーマソング「Landing action Yeah!!」 歌い出し
まだまだいっぱいあるんだ 話したいこと
待ってるだけじゃ伝わらない
だから遊ぼう ここで遊ぼう 今日は遊ぼう!
Aqours Next Step! Project テーマソング「Landing action Yeah!!」 歌い終わり
こうしてAqoursの2ndLIVEである「HAPPY PARTY TRAIN TOUR」は、『次の夢』の入口を提示することで終着をみました。
全速力で走り続けるAqoursには、これからも無数の輝きの瞬間が待ち受けていることでしょう。そして、Aqoursについていくと決めたみんなにも。