ラブライブ!μ’s Final LoveLive! まるごと振り返り
ラブライブ!μ’s Final LoveLive!~μ’sic Forever♪♪♪♪♪♪♪♪♪~に参加したレポートおよび感想考察です。セットリストを解体することに挑戦しました。私的解釈を偉そうに書きます。
雑誌『電撃G's magazine』の読者参加企画を皮切りに2010年に開始したラブライブ!は、6年という時間の中で成長し、東京ドームという会場で6回目のライブを開催するに至りました。
ファイナルと題が打たれたこの度のライブは2016年3月31日、4月1日に開催され、ライブビューイングは日本の他にも海外10か国(中国・韓国・台湾・香港・シンガポール・タイ・インドネシア・マレーシア・フィリピン・オーストラリア)で中継されました(全国221会場、海外30会場)。また、4月2日には4月1日の公演を上映するスペシャルビューイング、もう一度 μ’s Final LoveLive!~μ’sic Forever ♪♪♪♪♪♪♪♪♪~が各映画館で催されました。
僕は3月31日、4月1日の両日ともに東京ドーム1階スタンド席一塁側Aブロックの座席から参加しました。4月2日のスペシャルビューイングにも行っています。
東京ドームは過去に何度か足を運んだことがありますが、改めてその広さと、そこに集まった人の多さに圧倒されました。
会場はBGMの「snow halation」に合わせた数多の白いサイリウムが振られる中、『間も無くStart!!』でフェードアウト、暗転。
ファイナルライブの幕が上がりました!
オープニングアニメ
新規アニメーション。
アニメ2期第13話で妊娠が発覚した音ノ木坂学院のマスコット・アルパカが、μ’s9人に見守られながら赤ちゃんを産むというもの。(一日目)
二日目は赤ちゃんアルパカが最初の一歩を踏み出し歩き始める映像に変更されていました。
ハート形の風船を受け渡しながら1stライブが行われた横浜BLITZから順に会場を巡り、東京ドームへ。
この映像に象徴される通り、ファイナルライブはラブライブ!が誕生してからの6年間の道のりを表現した、集大成となるライブでした。また同時に、μ'sのふたたびの誕生と歩み出しが描かれたライブでもあったと感じています。
セットリスト考察
恐ろしく緻密に組み上げられたファイナルライブのセットリスト。
感想を交えつつ振り返っていくとともに、僕は無謀にもこれを解体することに挑戦します。
ファイナルライブのセットリストは、6年間の集大成と行く先を表現するために、その全てをこの5時間に圧縮しています。
二日間のセットリストはほとんど同じで、それはこれから起きることをより多くの人に目撃してもらう必要があったからだと感じています。
それでは順に追っていきます。
M1 僕らのLIVE 君とのLIFE/μ’s
μ's、そしてこの「Final Love Live!」という、伝説の幕開けの曲です。
この1stシングル表題曲を1曲目に披露するのは、集大成としてまた王道として、過去を振り返るということを表現するにおいてこの上ないでしょう。
満を持してフルメンバー9人が揃ったステージとなるわけですが、膝の都合で一年間以上ぶりにラブライブ!のステージに立つ南條愛乃さんの姿に感激。
M2 僕らは今のなかで/μ‘s
アニメ化はラブライブ!を爆発的に大きくした契機。アニメ1期オープニング曲は「二番目のスタートを飾る曲」となりました。
アニメシリーズの根幹を成す「僕」の曲、そのオープニングを飾ったこの曲が、原初の「僕」の曲と接続されることによって、いま集結すべきラブライブ!という物語に一本の筋を通しています。
MC1
自己紹介。
二日目の内田彩さんの涙が印象的でした。
二日目後半のアンコール後MCにて本人から喉を痛めて声が出なくなってしまったからだと話がありましたが、私は呑気にもそれまでずっと、最後の自己紹介となることに感極まってのものかと思っていました。
それだけ二日目もパフォーマンスは素晴らしく、不調を感じさせないものだったのです。
事実を知ってから三日目のスペシャルビューイングを観ると、このときの『ごめんね、ごめんね』という言葉がとても悲痛に見えました。
誰へ向けての『ごめんね』だったのかは彼女だけが知っていればよいことかもしれません。
M3 夏色えがおで1,2,Jump!/μ’s
3rdシングル表題曲。
この曲のセンターを務める矢澤にこ。そのパーソナルカラーであるピンク色に会場が染まっていきます。
一部の楽曲ではペンライトの色をセンターのパーソナルカラーに合わせる人が多く見られ、ライブを重ねる毎にその比率は上がっています。
参加者一人一人が思い思いの色を振り、メンバー9人の9色がカラフルにひしめく光景はラブライブ!のライブにおけるアイデンティティのひとつでもあったと思うのですが、時間をかけて今回のような形に移り変わっていったこともまた、ラブライブ!の到達した一つのすがたなのだろうな、と思います。
(ちなみに、推しが絞れない弱い人間である僕は4thライブにて売り出された唯一オートカラーチェンジモードを備えるラブライブレード!→NEXTをひたすら振っています。)
M4 Wonderful Rush/μ’s
5thシングル表題曲。客席は一気にセンター・ことりの白に。
アリーナ席中央までせり出したムービングステージは、座席を跨いでスタンド側バックステージへと移動するギミックを持ち、「出発」をテーマとする曲風と絶妙な噛み合いを見せます。
次々に披露されるナンバリングシングルは、μ'sの歴史の再確認を行うかのようです。
M5 友情ノーチェンジ/μ’s
1stシングルカップリング曲。
最初期から存在する楽曲だけあり、1st、2nd、4thライブと度々セットリストに組み込まれています。会場全員で行うテンポの良いワイパーの振りが印象的で、過去のライブの記憶が呼び起されるようです。
この曲で一同はトロッコに乗って会場を半周しつつ一旦退場するのですが、注目すべきは大きな会場における彼女達の気遣いです。
東京ドームだけあってアリーナ席だけでもかなりの広さがあるのですが、メインステージは中央のサブステージへ、そこから更に先に延び、一塁側ステージ、三塁側ステージが設置されています。サブステージは先のWonderful rushで用いられたムービングステージによってバックステージへ繋がれているほか、トロッコに乗るなどして会場を所狭しと動き回ってくれます。
また、衣装にも工夫が見られました。
下はμ'sの衣装を手掛けたスドーキョーコさんのツイート。
広ーーーーーい会場で
— Kjoko Sudoh (@Kjoooooko) April 3, 2016
一番上の一番端まで
彼女達の輝きを
見てもらいたかったから
スパンコールやグリッターの生地を多用しました。
そのせいで、擦れて痛かったり、動き辛いことも多々あったはず
みんな頑張ってくれたことに
本当に感謝。
書かれている通り、より目立つように、衣装全体がギラギラと輝いて見えます。ここまでの5曲は通して、ギラギラな「僕らのLIVE 君とのLIFE」の衣装を着てパフォーマンスが行われますが、以降で登場する衣装もこの傾向は強く表れています。
これらの意向からは観てくれている人に対してより近い存在でありたいという想いを感じることができ、とても嬉しく思います。
幕間映像 μ's Chronicle 1
これまでのライブでは、この衣装替えの時間を使ってデフォルメμ'sによるライブテーマに踏み込んだ内容のミニドラマが上映されていました。
今回はキャストへのインタビューによってラブライブ!の歴史を振り返る映像が。
このファイナルライブは5時間以上に及ぶ長丁場にもかかわらず、6年という時間を圧縮するために花火のように次々と楽曲が打ち上げられていきます。必然的にMCに裂くことができる時間が非常に少なくなっているがゆえ、音楽の女神の名を冠するμ'sというグループの、音楽で語るライブであると言えます。
今までの想い出やプロジェクトへの想いを聞くことで、振り返りの効果もひとしお。
M6 もぎゅっと”love”で接近中!/μ’s
3rdシングル表題曲。
今まで登場してこなかった「もぎゅっと」のメイド風衣装が、CD発売から4年を経てファイナルでついにお披露目。
思いがけずキャストとキャラクターがダブって見えるほどの再現度を誇るこの衣装ですが、その上で動きやすさやシルエットの映え方など、今までの全てのノウハウが詰め込まれた集大成の衣装であったことが、ライブ後、キャストによって語られました。
M7 baby maybe 恋のボタン/μ’s
目の前の一塁側ステージに!目前20メートルの距離で歌い踊るμ'sに大興奮。衣装と楽曲のシナジーが凄まじい。
二日目の僕の座席は目の前に機材(カメラ)が鎮座し思いっきり視界に入ってくる席で、正直ツイてないなーと思っていたのですが、ここで重要なことに気付きます。
「カメラ目線」です。
カメラのすぐ隣から顔を覗かせる形となっている僕は、あたかもメンバー皆がこちらを注視しているような錯覚に陥ることができたのです...!
俺は南ことりに押してぽちりされた男だ!!道を空けろ!!!
M8 Music S.T.A.R.T!!/μ’s
6thシングル表題曲。
みんなで踊れることに主眼を置き、難易度の低い動作が振り付けられているパーティー感たっぷりの曲です。
引き続き目の前の一塁側ステージで踊るμ's一同。
振り付けに全然合っていないコールなんてしている場合ではなく、コールをガン無視して一緒に踊りました。僕の輝かしい思い出のひとつになりました。
MC2
アニメの楽曲パートへ
<メドレーパート(M9~M13)>
M9 ユメノトビラ/μ’s
M10 ススメ→トゥモロウ/高坂穂乃果(CV.新田恵海)・南ことり(CV.内田彩)・園田海未(CV.三森すずこ)
アニメ一期では、二年生3人によって未来の可能性が表現される楽曲です。
このライブでこのときに身に着けていた3人の衣装はそれぞれ赤・緑・青と光の三原色を配されています。光の三原色の文脈はアニメ1期3話劇中歌の「START:DASH!!」にも用いられていますが、この曲のみ原初の3人によるパフォーマンスとなったのは、全ての光色を包括した3人によって≪ほのかな予感≫あるいは≪無謀な夢≫を振り返る意を込めてのものだったのではないでしょうか。
M11 Wonder zone/μ’s
M12 これからのSomeday/μ’s
M13 Love wing bell/μ’s
劇中では二年生3人を除く6人で披露された楽曲ですが、この場では9人によって歌われました。
「Final Love Live!」はラブライブ!が6年間をかけて目指した≪あこがれの瞬間≫を実現させるための場であり、この曲を9人で歌うことは必然でした。
メドレーパートはファイナルライブのシナリオを描いた物語となっていました。
MC3
短いMCで、MCが休憩の役割を果たしておらず少し心配になりました。
M14 Dancing stars on me!/μ’s
暗転の瞬間で衣装のエプロンがオレンジ地にコウモリ模様のハロウィン仕様にチェンジ。マジックテープを剥がす音が聞こえたのは内緒です。
会場カラーは紫。
昼と夜、夢と現実の二面性の曲は、ライブという場を使って二次元と三次元の二面性につながっていきます。
ファイナルライブという場で歌い上げられる≪もっともっと踊らせて≫という言葉は一見せつなくなりますが、彼女たちのその後は我々に委ねられていると取れます。
M15 Happy maker!/μ‘s
ひとつの物語を綴じ、次のはじまりへ向かう円環の曲。
この一連のセクションによって「Final Love Live!」でひとつの物語が終わりを迎えること、そして次の物語が生まれることが示されています。
幕間映像 μ's Chronicle 2
1stライブや初めてアニサマに出演したことに触れていました。
キャラクターとキャストが同じ振り付けをして歌って踊ることの新しさ、苦労したことについて語りがありました。
M16 WAO-WAO Powerful day!/Printemps(高坂穂乃果(CV.新田恵海)・南ことり(CV.内田彩)・小泉花陽(CV.久保ユリカ))
≪おはようPowerful day!≫の歌詞で毎回恒例のユニットシングルパートが開幕します。
CDの帯にあった≪楽しい一日のはじまりだよっ!≫の文をそのまま用いたような、なんてストレートな使い方なんだ、と感心。
何気にコールが多い曲なので一発目から大盛り上がりです。
MC-Printemps
橙・白・緑のブレードの光が野菜スティックみたいだとか、さっきお餅食べたとか、PrintempsのMCは相変わらずユルユルです。
衣装にも触れていました。
ユニットシングル第1弾「Love marginal」の衣装であると同時に最新4thシングルのものでもある今回再現された衣装は、相当にこだわりを持って作られたものであることが語られました。
M17 NO EXIT ORION/Printemps(高坂穂乃果(CV.新田恵海)・南ことり(CV.内田彩)・小泉花陽(CV.久保ユリカ))
Printempsの楽曲には、先の「WAO-WAO Powerful day!」のような元気な曲と、この曲のような切ない系恋愛ソングの極端な二面性があります。
ユニットシングル4th sessionでは「王道乙女系ユニット」というコンセプトにはめ込まれたギャップが最も大きく表れており、さっきまでの雰囲気との対比によってより強調されます。
青白い照明のもとスタンドマイクで熱唱する3人の姿が、カッコ良すぎる...
『次は、この曲!』
M18 sweet&sweet holiday/Printemps(高坂穂乃果(CV.新田恵海)・南ことり(CV.内田 彩)・小泉花陽(CV.久保ユリカ))
いつものユニットパートでは表題曲とカップリング曲の2曲披露のところを、まさかの3曲目。
ユニットシングル第1弾カップリング曲。
2012年の1stライブ以来のお披露目となり、2013年のアニメ化からラブライブ!を追いかけ始めた僕にとって嬉しいサプライズでした。
M19 思い出以上になりたくて/lily white(園田海未(CV.三森すずこ)・星空凛(CV.飯田里穂)・東條希(CV.楠田亜衣奈))
お得意の昭和の歌謡曲調の楽曲を引っ提げて、lily whiteが登場。
夕焼けを思わせる橙色の照明が相まって昭和感に拍車がかかります。
lily whiteの楽曲はもちろん単体でも楽しめるのですが、それぞれいくつかを繋げてひとつの物語調になっている節が強いと思います。
M20 ふたりハピネス/lily white(園田海未(CV.三森すずこ)・星空凛(CV.飯田里穂)・東條希(CV.楠田亜衣奈))
ユニットシングル3rd sessionカップリング曲。
前回の5thライブでは、『歌詞の「幸せ」に合わせてハートを描きましょう』と振り付け指導があった曲。この振り付けを意識することはすなわち歌詞を噛み締めるように聴くことに繋がっていて、彼女達が伝えてくれる「幸せ」がダイレクトに染み入ってくるんですよね...
MC-lily white
衣装に言及。
風船で覆われている衣装だそうです。儚く消えやすい、泡沫の恋を歌う少女にピッタリではありませんか。先の「ふたりハピネス」では、トロッコで移動しながらシャボン玉を飛ばしていたりもしていましたね。 『着ているとじんわり暖かい』というコメントには、何とも言い表し難いエモーショナルを呼び起されました。
他にも客席のペンライトを桜に見立てようという試みがあり、会場の5万5千人が合図とともにウェーブの要領でピンクと白を次々点灯させていく光景には思わず息が漏れました。
ところで、ユニットシングル4th sessionのジャケットには、3グループに共通して桜の花が描かれています。桜の花言葉には、「優美」「純潔」などのほか、「独立」があります。
奇しくも、東京の桜は4月1日に満開となりました。
M21 春情ロマンティック/lily white(園田海未(CV.三森すずこ)・星空凛(CV.飯田里穂)・東條希(CV.楠田亜衣奈))
自身を蝶に例え生まれ変わった、lily white最強の楽曲。
幼虫からサナギを経て成虫へと変化を遂げる蝶は、変容、成長、転生などの象徴として扱われます。
各ユニットの中でもlily whiteはいつも振り付けが難しそうな曲をやっている印象ですが、今回は過去最も細かく素早い、キレを要求される振りをこなしていました。息をのむほどに美しく、一体どれほどの練習をしたのか......想像に難いです。これも6年間積み上げた成果のひとつでしょうか。
M22 Cutie Panther/BiBi(絢瀬絵里(CV.南條愛乃)・西木野真姫(CV.Pile)・矢澤にこ(CV.徳井青空))
BiBiのユニットシングル2nd session表題曲。
ユニットパートには1stから最新4thセッションまでの曲が一同に会する、まさに集大成のセットリストとなっています。
先ほどのlily whiteからは打って変わって、BiBi特有のコールで盛り上がる楽曲で雰囲気を一変させました。
M23 PSYCHIC FIRE/BiBi(絢瀬絵里(CV.南條愛乃)・西木野真姫(CV.Pile)・矢澤にこ(CV.徳井青空))
正直言ってよくわからない歌詞の内容から断片的に察するに「不可解に燃え上がる恋の炎」を歌った曲なのですが、まずタイトルがわかりにくく、故意に婉曲的な題を打っている気がしてなりません。加えて拍車をかけるのが、原曲から挿入されている非常に難解で意味がわからないコールです。
これらには読解を諦めて思考を止めさせる力がありました。その日イチのテンションで猿のようにコールを打ちまくったあの瞬間、会場はひとつになっていました。BiBi帝国の建国です。
元来のユニットコンセプト「華やかモデル系ユニット」のすがたは、跡形もなく崩れ去っていたのでした。
MC-BiBi
衣装への言及はありませんでしたが、黒を基調とする衣装を広い会場で目立たせるためにメタリックなパーツが採用されていたのではないかと思います。
4thライブからおなじみのBiBiコールを綺麗に決めて、次の曲に繋ぐコントが始まります。
『すごく盛り上がったわ、さすがはコミックユニットね』
『ちょっとちょっとー』
『どうしたのハラショー』
『私達、おしゃれ系モデルユニットでしょ』
『ごめんなさい、私、錯覚してた』
『錯覚...?』(ライブビューイングでは映されませんでしたが、ここの徳井青空さんオーバーリアクションすぎて相当な変顔になっているため苦笑する二人)
『その錯覚、現実にしましょう』
『頼んだわよ真姫ちゃん』
『任せて』
『それでは聴いてください、錯覚CROSSROADS』
M24 錯覚CROSSROADS/BiBi(絢瀬絵里(CV.南條愛乃)・西木野真姫(CV.Pile)・矢澤にこ(CV.徳井青空))
芸人集団となったBiBiですが、決めるところは決めるんですよね。あれだけブチ上げておいてこれはズルい。
西木野Pile真姫さんの美しいファルセットには歓声が上がりました。
幕間映像 μ's Chronicle 3
2ndライブ、アニメ1期、3rdライブとアニメ2期決定に触れました。
それらを通してキャラクターとの距離が近づいたという話がありました。このあたりから「18人」という言葉が出始めます。
M25 Angelic Angel/μ‘s
何度も足を運んだ映画館で、何度も見たあのシーン。会場が一気に水色になります。
このとき僕はなぜか「お、いつもの衣装だな」と思ったのですが、この衣装がライブで披露されるのは当然この場が初めて。「あまりの再現度の高さに、見慣れていると錯覚し逆に驚かない」ということに、後から気付き驚くという不思議体験をしました。
イントロのドラムに合わせて、火薬を使ったド派手演出で客席のボルテージも爆発。あのときの鼻をつく硝煙の匂いが忘れられません。
大きな見どころとして、扇子の軌跡がリアルタイムでモニター上に描かれるという、PVを再現する演出がありました。
一日目は失敗が多く、モニター全体が真っ黄色になってしまったりで「なんか凄いことをしようとしている」ということだけは伝わってきましたが、二日目は見事に全箇所キマッていました。
ユニットパート BiBiの「PSYCHIC FIRE」でも、映されたキャストがモニター内を動くボールで遊ぶ演出が見られました。このモニター内とステージ上のリアルタイム合成を、二次元と三次元の融合と言わずして何と言いましょう。
MC4
各々が衣装や髪型へのこだわりに触れます。海未ちゃんのポンデリングのような頭もしっかり作りこまれていました。
回を重ねる毎に外面がキャラクターに近づいていきます。
M26 輝夜の城で踊りたい/μ‘s
この曲のサビのコールを今度こそ何としても揃えたい、と思っていた人は少なくなかったでしょう。
ライブの入場前、周りからたくさんの会話が聞こえました。ライブ自体初めてだと話す高校生、親御さんと来ている中学生、果ては未就学であろう小さい子の姿も。ラブライブ!という作品は、それだけセンセーショナルで、それだけたくさんの人の足を会場へと向かわせる力を持ちました。
コールが揃わないことを、とてもいとおしく思います。
M27 だってだって噫無情/μ’s
会場を蒼く染める、海未ちゃんセンター曲。 和テイストの曲が続きますが、このライブは衣装に対する妥協が一切感じられず、曲との噛み合いへの配慮が尋常ではありません。
ステージから噴き上がる炎柱がスタンド席にいてもアツい!扇子をクルクルと回す振りは見た目に華やかで、歓声が上がりました。
ファイナルライブという場で歌われる別れの歌には、特別な意味を見出してしまいますね。
幕間映像 μ's Chronicle 4
猛加速するラブライブ!の勢い、4thライブ、アニメ2期について語られました。
この先どうなっちゃうんだろう、という気持ちが強かったようです。
面白いのは、やっている側の感想が見ている側のものとさほど変わらないんですよね。
キャラクターの生き生きとした実在性を一番に感じていたのは、キャストなのかもしれません。
M28 Hello,星を数えて/星空凛(CV.飯田里穂)・西木野真姫(CV.Pile)・小泉花陽(CV.久保ユリカ)
テーブル、傘、コートなどの小道具も用意され、そこまでやるのかというほどに再現されました。
ところで、劇場版は曲の1番までしか映像がありません。このライブで劇中映像の先が描かれたのは、革命です。
花陽と真姫はコートを脱ぎだし、中にはなんと凛と同じ衣装を着込んでいるではありませんか。3人が同じラインに立つことで、リーダーの素質の片鱗を見せる凛の、≪きっと一緒なら全部楽しめる≫という方法論が強調されます。 嗚呼、何て眩しいんだろう...
M29 ?←HEARTBEAT/絢瀬絵里(CV.南條愛乃)・東條希(CV.楠田亜衣奈)・矢澤にこ(CV.徳井青空)
ススメ→トゥモロウと対をなす、「←」の光の三原色の曲。
≪ハテナから先へとなかなか進めない≫と歌うこの曲の終わりに、3人ははじめとは違うなんだか豪奢なサングラスを取り出し掛け直します。劇場版の延長として行われる劇中歌のパフォーマンスは、時系列を異としても根本の機能に全く変わりはありません。ゆえに、「新しい文脈」でなく、「再現の延長」と受け取りました。
M30 Future style/高坂穂乃果(CV.新田恵海)・南ことり(CV.内田彩)・園田海未(CV.三森すずこ)
劇場版同様、制服を着てのパフォーマンス。
劇中では物語の着地点を示す曲となっていましたが、二番以降、一部に「START:DASH」の振り付けを交えることで、ここから「Final LoveLive!」の真意が明示されていくことを予感させました。
≪隣も前も後ろも We love music≫、≪最高の夢をカタチにする時≫でなければ、このライブの悲願は達成されなかったでしょう。
幕間映像 μ's Chronicle 5
5thライブ、劇場版、ファンミーティングツアーについて振り返りました。
これにてμ's Chronicleは現在に追いつき終了。モニターには「ミはμ'sicのミ」の『μ'sic forever 忘れないで 君と僕の足跡』の歌詞が浮かびました。
M31 それは僕たちの奇跡/μ’s
「SUNNY DAY SONG」の衣装で登場。
大切な「いままで」の圧縮を終え、奇跡の開幕を歌い上げます。
≪最後まで駆け抜けるよ!≫
M32 ミはμ’sicのミ/μ’s
ライブタイトル「〜μ'sic Forever♪♪♪♪♪♪♪♪♪〜」に引用される歌詞をもつ、「みんなで作るμ'sの歌」。ファンミーティングツアーで回った全ての会場で歌われました。
いままでの6年間を表す≪君と僕の足跡≫の曲をみんなで歌い踊ることによって、総まとめとしました。
M33 Super LOVE=Super LIVE!/μ’s
ラブライブ!と、愛することと、ライブと、生きるということについて歌った曲。哲学的な内容なのに、とても感覚的でストレートに表現できてしまうことに、歌と音楽の力を強く感じます。
コールが盛りだくさんでライブでの披露が心待ちにされていたこの曲、初披露にもかかわらずワンフレーズ単位のカラーチェンジに大多数の参加者が対応し、大盛り上がりとなりました。僕もこのためだけに用意したファイナル仕様の「ラブライブレード!μ'sic forever」を振りましたとも。
万感の意を込めて発される≪We are μ's!≫、≪We are the one!≫のコールの重みが凄まじい。
M34 No brand girls/μ’s
ブチ上がったテンションのまま、μ's最強のブチ上がり曲がブチ込まれます。
「知られていない少女たち」の歌が東京ドームという会場で歌われる日が、本当に来たんですよね――
M35 KiRa-KiRa Sensation!/μ’s
この曲の振り付けは過去のシングルや劇中歌のもので構成されており、μ'sの集大成を表現した楽曲となっています。
全ての歌詞が実感をもって刺さり、このときのために生み出された曲なのではないかと思いました。
MC5
「SUNNY DAY SONG」の振り付け講座。劇場版の流れを汲んで、星空飯田凛里穂さんが先生を担当します。μ'sが踊る振り付けとは少し違うんですね。
M36 SUNNY DAY SONG/μ’s
第一の終着点となる、大きなテーマのひとつを担う曲です。
劇場版にて、参加者全員の衣装に刻まれたトランプのスートによって「みんなで一組」が表現された、すべてのスクールアイドルのための歌です。トランプの記号は今回のロゴ、そして僕たちの背中にも刻まれていました。
劇場版では、有限の時間の中で生きる「スクール性をもったアイドル」として目指したものの終着点として、未来への種まきをする「最高に楽しいライブ」に至りました。
オープニングアニメ、絵里の『SUNNY DAY SONGのライブは見てくれた?』をはじめとした台詞によって、このファイナルライブが以後の時間軸にあることが示されています。そんな中、6年間を振り返り、種まきである「最高に楽しいライブ」を「みんな」でやることで、「スクール性をもったアイドル」の集大成としました。
『これが最後の曲です』の言葉で始まったこの曲。このライブは、ここでまでで一旦幕を降ろさなくてはなりませんでした。「MOMENT RING」を歌うには、みんなの同意が必要だったからです。
アンコール映像
まだμ'sにはやるべきことがある。アンコールをしていると、映像が流れ始めました。
1stから6thまでのシングルのPV映像、アニメ1期オープニング、2期オープニング、劇場版の「SUNNY DAY SONG」。
簡易的にではありますが、μ'sの誕生からいま、もしくはこのライブの開演からさっきまでの瞬間を「もう一度」振り返っています。
もうひとつの幕を下ろすために、もう一度圧縮を繰り返す必要があったからです。
EN1 START:DASH!!/μ’s
はじめに着ていた「僕らのLIVE 君とのLIFE」の衣装でもう一度登場。
曲名「START:DASH!!」の「:」は「:D(笑顔)」の顔文字を成形するほかに、音楽記号におけるリピート記号を表します。
ここからは「スクール性をもったアイドル」ではなく、μ'sというグループの個人的な文脈が展開されます。その上で必要だったのが6年間の圧縮を「もう一度繰り返す」ことであり、先のアンコール映像と曲名のリピート記号を用いることで、もうひとつの目的のための二重展開を行いました。
EN2 Snow halation/μ’s
1stライブから徐々に大きくなり、もはやμ'sの名物となったスノハレが満を持して歌われます。一致団結して二次元のPV映像を三次元で展開する光景は、「みんなで叶える物語」であるラブライブ!の象徴と言ってもいいのではないでしょうか。
ファイナルライブにて、ライブビューイングを含め世界中で掲げられたであろうオレンジ色のサイリウムは、過去6年間で間違いなく最も大きな輝きを放っていました。
EN3 Oh,Love&Peace!/μ’s
未来へと向かう、大団円の曲。
トロッコに乗って歌われたためわかり辛かったのかもしれませんが、もともと花陽をセンターポジションに置く楽曲です。
今回のセットリストは、メンバー全員がセンターに立つよう選曲されています。
会場が緑に染まらなかったのは「輝夜の城で踊りたい」同様、ご愛嬌ということにしましょう。
EN4(一日目)きっと青春が聞こえる/μ’s
EN4(二日目)どんなときもずっと/μ’s
アンコール4曲目はセットリストの中で唯一、一日目と二日目で違う曲が歌われました。
アニメ1期エンディング曲「きっと青春が聞こえる」は、「いま」を謳歌する3月31日の曲として、2期エンディング曲「どんなときもずっと」は、次の一歩を踏み出す4月1日の曲としてそれぞれ、これからの「僕」と「君」の在り方を語っています。
この地点でおわりの3月31日とはじまりの4月1日を接続し、ひとつの輪としていたのではないでしょうか。
MC6
9人がそれぞれ、短くも重みのある感想を述べました。
・μ'sの18人性
幕間映像やMCにて、キャストの口を通して突如出てきた「18人」ということば。1stライブのときから、常に一人は二人だったことを物語っています。
しかしながら、今まで「二次元と三次元の融合」を突き詰めてきたμ'sが、何故ここにきて突如「18人性」を前に出すこととなったのか。
これは非常にナイーブかつ今回の「FInal LoveLIve!」の肝となるポイントで、6年間の圧縮を二重にくりかえしたことにつながります。
なぜならμ'sは、このファイナルの舞台で、融合していた二人を切り離し、独立させることを試みたからです。全てがこの後の「MOMENT RING」につながっていくことになります。
・μ'sというスクールアイドル
このMCではさまざまなメッセージを聴くことができました。
飯田里穂さんは『凛ちゃーん!みてましたかー?私やりきったよー!』と呼びかけ、内田彩さんは『南ことりになりたかった』と言い、南條愛乃さんは『絢瀬絵里と南條愛乃でした!』と挨拶を締めました。
極端な3人を例に挙げましたが、おそらく9人9通りの二者間の付き合い方が存在するのでしょう。
正直なところ、ひとつのことを成し遂げるために、その方針をひとつに固めるべきではないかと思いもしました。しかしμ'sというスクールアイドルは今まで「やりたいこと」を突き詰めてきたわけで、これらの個性があったからこそ、ここまで来ることができたんだろうな、とも思います。
・「愛してるばんざーい!」の不在
アニメ本編に登場した楽曲の中で、真姫と穂乃果が出会うシーンで使われた「愛してるばんざーい!」は唯一セットリストに入りませんでした。
「Final LoveLive!」はキャストの9人にとって、走り続けた6年間のゴール地点です。キャストとキャラクターが同位相にあるこの段階で、≪まだゴールじゃない≫と語る「愛してるばんざーい!」を歌うことはできませんでした。
ゆえにPileさんはこのMCで、会場にこの楽曲のタイトルコールを乞いました。あれは、あちらのμ'sへ捧げる特別なMCだったのではないでしょうか。
同様に、「これから」や「さようならへさよなら!」をはじめとした楽曲は、キャストとキャラクターの二人だと歌うことができない、あちらのμ'sの楽曲であると解釈します。
EN5 MOMENT RING/μ’s
『これが本当に最後の曲です。μ's ファイナルシングル MOMENT RING』
高坂新田穂乃果恵海さんから、一日目は低く力強く、二日目は涙がかった声で宣言されました。
この曲は歌詞に今までの楽曲のイメージとなるフレーズが散りばめられており、イントロからメンバーそれぞれが特徴とする仕草を順番に畳み掛けたかと思えば、今までの楽曲の振り付けの一部をそれぞれバラバラにとっていきます。二重目の圧縮が必要だったのは、いままでの全てがこの曲につながっていたからでした。
さらに、それらは全て間奏の演出につながっていきます。
ひとつのモニターに順番に映されていくメンバー。ただし、半分をキャラクター、もう半分をキャストと分割した上で、二人は同じポーズをとって映されていました。
キャストとキャラクターが別々に、しかし同じ舞台に立っていました。
最後のナンバリングシングルにPVが付属しなかったのは、PVを作ることができない曲だったからです。
「みんなで叶える物語」は、6年間という時間をかけて、二次元と三次元の壁を限りなく薄くすることで9人のキャラクターを三次元に近づけました。その先に、9人を18人に独立させることによって、9つの物語を叶えました。
ダブルアンコール
暗転したドームの天井には、照明によって「ラブライブ!」と「μ's」の文字が。
僕は放心して天井のそれらをぼんやりと眺めるばかりでしたが、アンコールが鳴り止みません。あの曲を要求する声です。
キャストへのインタビューの映像が流れはじめ、6年間への想いが語られました。
さらにモニターは過去のライブ映像を映し始めます。それらは、キャストとキャラクターの決別のため、つまりはキャストの卒業のための、さいごの振り返りでした。
センターモニターが割れ、大きなつぼみが会場の中央へせり出してきます。
BGMは「Days Have Passed By」。劇場版にて、「僕たちはひとつの光」へつなぐシーンの劇伴です。直訳で「過ごした日々」。
W-ENCORE1 僕たちはひとつの光/μ’s
ラブライブ!The School Idol Movie 映画一本まるごと振り返り
映画 ラブライブ!The School Idol Movie を、感想・考察を交えて一本まるごと振り返ります。
回想
部室
空港
タクシー
ホテルの部屋
レストラン
ホテルの部屋
ランニング
こんなところにステージ
観光
ビル展望台。
舞台は明らかにニューヨークなのですが、劇中では「海外」「この街」などの表現を使い、あえて地名を出していません。ここに「秋葉原」を上書きすることで「いつものμ's」が演出されます。
凛とことり。劇場版において、この二人は並んで描かれるカットが多いです。タクシー、帰国後の路地裏、イヤホン回し聴きなどなど。リーダーを補佐してきたことりは次期リーダーの凛を気にかけ、凛はことりを頼りにする図式。
雨
Hello,星を数えて
白米
GOHAN-YAを後にして
駅
迷子の穂乃果
As Time Goes By
地下鉄
マイクを巡るやりとりから、女性シンガーのおっちょこちょいな部分が垣間見えます。
このやりとりの本質的な機能は、視聴者に「あれはマイクが入っているケースなんだ」と強く印象付けることにあるように思えます。重要なモチーフです。
歩く二人
ホテル前
Angelic Angel
機内
空港
一躍有名人に
路地裏
?←HEARTBEAT
run awayは逃走、のほかに急上昇、急騰の意味もあるようです。
高坂家の居間
ここまで大きくなったからには、辞めづらいよね。という話。本題に入っていきます。
追われる穂乃果
部室
理事長室
中庭
穂乃果の部屋
『難しいなぁ・・・』
マイクケースがたびたび視界に入ってきます。
後続の萌芽と原点の気付き。『楽しい』は、「やりたいからやる」という内から湧いた欲求に応えた結果でした。
ツバサからの電話。
アライズリムジン
『車を待たせているの。ドライブしましょう』A-RISEはなんでもありです。
『この時間を、この一瞬をずっと続けていたい』『終わってしまうのは寂しいの。だから、私は。』
お客さんを楽しませる存在であろうとし続けたA-RISEは、μ'sの対極として描かれています。スクールアイドルの何たるかが浮き彫りにされていきます。
雨
それぞれの「雨」との対面。
『あーもうわけわかんないよー!!』
川岸に背を向けて叫ぶ穂乃果。
帰国後、自分達のポスターに囲まれ、ファンに囲まれたのは神田川沿いの同じ場所です。逃げ場がありません。
As Time Goes By
穂むら前
目を閉じて
朝
最高に楽しかったから
(1st Single 僕らのLIVE 君とのLIFE PVより)
屋上
最高に楽しいライブとは
穂乃果とツバサ
部室
Future style
『行こう!みんなが待ってる!』
さわやかで疾走感のある前奏部分の映像は、走る穂乃果の足元。
希望に満ちた未来を予感する歌詞は、劇中歌として着地点の明確化を果たしています。
のびのびとした歌唱・振り付け、そして制服を着て快晴のもと歌い踊る三人。迷っていた穂乃果はもういません。
パンアップした空には9羽の白い鳥。
会いに行こう
ことにこぱな。
『ちょっとお話、いいですかぁ?』
アニメ1期の出来事を通して自分を持てるようになり、自信をつけたことりは『大胆に』行動できるほど成長しました。
ほのえりまき。
『ステージに立ってほしかったら勝負よ!』
ところどころ笑いどころが用意されているのはよかったです。
のぞうみりん。
『ワターシはスクールアイドルのシシャ。ソナタ達とライブがシタイのじゃ』
スペシャルステージ上映では盛り上がりどころみたいです。
隅田川、原宿、井の頭と、実は秋葉原からはかなり近所ばかりです。
音ノ木坂に集まるスクールアイドル
『お互い強引な相棒を持つと大変ね』
A-RISEにも物語があることを想像させてくれます。
『全国から集まった言葉だ』
『こんなにあるのですか』
『みんなの想いがこもってる。やるぞ』
電撃G'sマガジン連載「ラブライブ!みんなで作るμ'sの歌」コラボシングル「ミはμ'sicのミ」の意向を汲んでいます。
ラブライブ!の5th Anniversary Projectは、劇場版・ファンミーティングツアー・コラボシングルの三つの柱から構成されており、それらのメディアミックス要素を統合させる形になっています。
前日
会場設営や人集めなどをしている様子。
「スクールアイドル」の「プロ」との相違点、手作り感の拡大表現であると思います。『参加』という言葉を使っているのも印象的で、みんなで作っていくということを再認識させます。
『私達まだスクールアイドルじゃないけど、参加しちゃっていいのー?』
『だいじょうぶ!』
スクールアイドルをするために資格は必要なく、それをスクールアイドル達自身が肯定する。解ります。
しかし良くなかったのは、この台詞がイナバ物置のCMを連想させてしまうことです。
作品への没入を妨げる要素として、この台詞選びは失敗しているのではないかと思います。
解散宣言
『A-RISE μ'sについていくぞー!』
モブの声を受けて、穂乃果の解散宣言へ。
各々が持つμ'sへの気持ちが表情に表れています。
晴れの日の朝
スクールアイドルを始めた順に、μ'sのメンバーが登場します。
ただ一人を除いて。
『だれも遅刻しなかったみたいやね』
『まだわからないじゃない』
『いいえ、きっと誰よりも先に待っているはずよ』
『遅い!』
二年間を独り過ごしてきたにこ。
希と絵里の台詞も、にこと同じ3年生の二人だからからこそ言えるものです。
赤い花びら
「→」に示される上昇、始まりの歌であるススメ→トゥモロウ。
「円を描く」終わりと始まりの輪廻の歌、Happy maker!。
その両曲で髪飾りとして使われた花が散っていくさまの示唆です。
この映画のテーマは「μ'sという存在が残すもの」です。
(映画パンフレット スタッフインタビューより 京極尚彦監督 談)
咲いては散ってく花は同時に、種を残します。
この映画はまさに、花の散りゆくさまと種まきを描いた物語です。
上手側から下手側へ、下降の方向へと舞う穂乃果。
その滅びゆく姿は、本当に美しい・・・。
集結
SUNNY DAY SONGの衣装デザインは「僕らのLIVE 君とのLIFE」のものが意識されていますが、加えてトランプのスートが耳飾り・ネクタイ・ニーソックスなどあちこちにあしらわれています。
意味するところは、「みんなで一組」。
『我々はひとつ!』
『私たちは、スクールアイドル!』
SUNNY DAY SONG
『伝えよう!スクールアイドルの素晴らしさを!』
SUNNY DAY SONGはμ'sのみならず、スクールアイドルのための曲です。
「晴れの日の歌」。
輝きを追うスクールアイドルに相応しいです。生き生きと弾けるように踊る彼女たちが、あまりにも眩しい。
「晴れ」は「晴れ舞台」などおめでたいときにも使われる言葉で、めでたいは「芽出度い」とも表記できます。ラブライブの発展とスクールアイドルの芽吹きを願い、祝福する歌です。
間奏では穂乃果がメンバー全員とハイタッチ。脚の振りによるウェーブから穂乃果のソロに繋ぎます。今までの歩みを繋ぎ渡す。
おわりには9片9色の花びらが画面を横切ります。
記念撮影
μ'sの面々のみがL字サインを作らない理由。
5th Anniversary Projectでの電撃G'sマガジン連載コラボシングル「ミはμ’sicのミ」製作において、読者参加で決定された要素は歌詞だけではありません。歌詞の他にも衣装・決めポーズ・グッズが読者投票により決定されました。
ここで材料とするのは決めポーズについてです。
(『ラブライブ!』みんなで作るμ’sの歌 特設サイト より)
読者の投票で決定された「両手で L字サイン」は、曲のサビ部分の振り付けに採用されました。
「みんな」が決めた事柄をμ'sが実行しない、という表現。
「みんな」によって支えられてきたμ'sを、「みんな」の意志に反して「自分達」で終わらせる、という宣言ではないでしょうか。
約二年後
3年生を示す緑のリボンを付けた雪穂と亜里沙。
『大丈夫、まかせて』
『ホントかなぁ~』
二人の会話からは、ホテル到着時の絵里の台詞『まかせて』が想起されます。そして、それがあまり信用ならないことも。数年も一緒にいればわかるのでしょう。
真姫の作曲ノートも受け継がれているようです。
『そして、μ'sのさいごのライブは』
僕たちはひとつの光
点呼時、「10」のための間が作られています。みんなで叶える物語。
『μ's ミュージックスタート!』
ステージは蓮の花をモチーフとしています。
蓮はきれいな水で育つと小さな花にしかならず、大きな花を咲かせるには汚れた泥水が必要だそうです。困難を乗り越えてこそ、というところから仏教などでは神聖の象徴とされています。
あまりに幻想的な空間で行われているラストライブは、場所や日、観客の有無すらも把握できない描かれ方をしています。
会場は死後の世界とまで言い出す人が現れるほどでしたが、「一蓮托生」は仏教由来で本来は「死後、極楽浄土で同じ蓮の花の上に生まれ変わろう」といった言葉のようですので、一度はそういった方向で見てみるのも面白いかもしれません。
歌詞にはメンバーの名前が。
エンドロールには練習着。
落ちてくる羽。二期のエンディングとは違い、掴む者はいません。
おそらく、μ'sのワンマンライブは2016年の6thライブで最後となります。
全日程『参加』します。